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先日、日本臨床歯周病学会の研修会にて、東北大学大学院の菅野 太郎先生が講演されたので、聴講してきました。
最近テレビでも取り上げられましたが、ブルーラジカル P-01という治療器を用いて歯周病を非外科的に治療する方法です。ブルーラジカルPー01は、過酸化水素の光分解反応によるラジカル殺菌技術を用いた機器のことです。3%の過酸化水素に405nmの青色レーザー光を照射することによって発生するヒドロキシラジカルという活性酸素を用いて殺菌を行うものです。これまでも多くの殺菌剤はありましたが、デンタルプラーク内まで浸透して殺菌するのは困難とされていました。過酸化水素はプラーク内に到達することができるものの、日本では口腔内での過酸化水素の使用濃度は3%に制限されており、その濃度では限られた効果しか得られないものでしたが、この過酸化水素に短波長の青色光を照射することで、短時間で必要な殺菌力を発揮することができるとのことです。
この機器には超音波スケーラーがついており、局所麻酔下で、スケーリングをしながらブルーラジカルを行います。
過酸化水素を口腔内で使用することで、害はないのでしょうか。発表では、動物実験では、3%過酸化水素とレーザーを数回使用しても、口腔粘膜の組織への異常所見は見られなかったとのことです。
歯周病の治療では歯周ポケットの検査を行いますが、ポケットの深さが5㎜を超えると外科処置を行わないと改善が難しいことが多くなってきます。しかし、この方法を用いると、5ミリ以上の歯周ポケットの歯でも、外科を行わずに5ミリ以下にすることが期待できます。歯周ポケットが5ミリ以下になれば、患者さん本人による清掃もより行いやすくなります。
勿論このような最新の機器をもちいたとしても、患者さんご自身のセルフケアができていなければまた後戻りしてしまいます。日本では歯科医院が多いと言われながらも、成人の8割が歯周病に罹患していると言われています。それは、患者さんに歯への興味を持ってもらうことがまだ十分にできていないからのようです。ご自分の歯への興味を持っていただき、日々のセルフケアを習慣として行っていただく、そういう取り組みがまず前提として必要です。
まだ、始まったばかりの治療法ですが、歯周病のみではなく、虫歯や神経の治療にも応用ができるようで、今後歯科のみならず医科の分野でも応用が期待できるようです。今後も新しい治療法を医院に取り入れていけるように、アップデートしていきたいと思っています。